なぜ公正証書遺言が選ばれるのか
遺言書にはいくつか種類がありますが、その中でも「公正証書遺言」は、法律の専門家である公証人が作成に関与するため、方式の不備で無効になるリスクが低い方法とされています。
自筆証書遺言と比較した場合の主なメリットは以下の通りです。
- 方式不備で無効になるリスクが低い: 公証人が方式の要件を確認するため、自筆証書遺言で起こりがちな形式の不備による無効を避けやすくなります。
- 家庭裁判所での「検認」が不要: 相続開始後、遺族がすぐに相続手続きを始められます。
- 原本が公証役場に保管される: 手元の正本を失っても原本が残るため、紛失・偽造・隠匿の心配が少なくなります。
特に、相続人の関係が複雑な方や、不動産などの財産が多い方には、公正証書遺言が強く推奨されます。
公正証書遺言でも避けられないこと
公正証書遺言は方式の面では確かですが、万能ではありません。作成時に遺言者が遺言能力(遺言の内容を理解し判断する能力)を欠いていたと認められた場合は、公正証書遺言であっても無効を主張され、裁判で争われることがあります。また、公正証書で作成しても、兄弟姉妹以外の法定相続人が持つ遺留分侵害額請求の対象から外れるわけではありません。特定の相続人へ財産を集中させる内容にする場合は、遺留分に配慮した分け方をあらかじめ検討しておく必要があります。
公正証書遺言の作成フロー
- 遺言内容の検討・決定: 誰に、どの財産を、どれだけ相続させるかを決めます。
- 必要書類の収集: 下記の「必要書類リスト」を参考に、事前に書類を集めます。
- 証人2名の依頼: 信頼できる友人や専門家などに証人を依頼します。
- 公証人との事前打ち合わせ: お近くの公証役場に連絡し、公証人と遺言の内容について打ち合わせを行います。
- 公証役場で遺言書を作成: 予約した日時に、証人2名とともに公証役場へ行き、遺言書の内容を確認、署名・押印して完成です。
【費用】公正証書遺言の作成にかかる手数料
作成手数料は、相続させる財産の価額に応じて法律で定められています。
| 目的の価額 | 手数料 | | ------------------ | ---------- | | 100万円まで | 5,000円 | | 200万円まで | 7,000円 | | 500万円まで | 11,000円 | | 1,000万円まで | 17,000円 | | 5,000万円まで | 29,000円 |
(上記は一例です。全体の財産額が1億円以下の場合は、11,000円の遺言加算がかかります)
【必要書類】事前に準備するものリスト
- 遺言者本人に関するもの:
- 実印
- 印鑑登録証明書(3ヶ月以内)
- 相続人に関するもの:
- 遺言者と相続人の関係が分かる戸籍謄本
- 財産に関するもの:
- 不動産:登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産評価証明書
- 預貯金:通帳のコピー
- 証人に関するもの:
- 氏名、住所、生年月日、職業が分かるメモ(例:運転免許証のコピー)
【証人】誰に頼めばいい?証人になれない人の条件
証人には、遺言の内容に利害関係のない、信頼できる成人2名の立ち会いが必要です。しかし、以下の人は法律上、証人になることができません(証人欠格者)。
- 未成年者
- 推定相続人(遺言者の配偶者、子、親など)
- 受遺者(遺言によって財産をもらう人)とその配偶者、直系血族
- 公証人の配偶者、四親等内の親族など
もし適当な証人が見つからない場合は、公証役場で紹介してもらえたり、行政書士や司法書士、弁護士などの専門家に依頼したりすることも可能です。
まとめ:費用はかかるが、後日の争いを減らすための選択肢
公正証書遺言の作成には、費用も手間もかかります。しかしそれは、あなたの最後の意思を方式の面で確かなものにし、愛する家族を無用な相続トラブルから守るための、有効な「投資」と言えるでしょう。まずは一度、お近くの公証役場や専門家に相談してみてはいかがでしょうか。公正証書遺言・自筆証書遺言の比較や費用の詳細は遺言書の無料相談はこちらをご覧ください。